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環境と社会 ~ かんきょうブログ

新しいエネルギーの可能性

今、私たちにできる小さなアクションの積み重ねが、未来の環境や暮らしを変えていくのかもしれません。モデルの平野由実さん(右)と環境問題のエキスパート工藤拓毅さん(左)<br><写真:磯部昭子 ヘア&メイク:高城裕子>

今、私たちにできる小さなアクションの積み重ねが、未来の環境や暮らしを変えていくのかもしれません。


これからの自然エネルギー

平野私たちが利用しているエネルギーについて、いろいろお話していただきましたが、今後エネルギーはどのように変化していくんでしょう?

工藤最近、アメリカの「グリーン・ニューディール政策」が話題になっていますよね。また、世界的に見ても、投資が環境やエネルギー分野に流れてくることなども考えられます。そういう意味では、自然エネルギーを利用した発電・エネルギー利用技術や、環境に配慮したエネルギー源の開発が活発化していくのではないでしょうか。

平野ところで日本には、風力や太陽光、バイオマス以外で利用が期待される自然エネルギーってあるんですか?

工藤日本の国土は火山帯の上に位置している関係で、地熱の活用があります。特に温泉や火山の多い東北や九州には多く、日本で最初に作られた地熱発電所は、温泉地として有名な大分県の別府市なんです。

平野地熱からどうやって発電するんですか?

工藤ボーリング(注1)して穴を掘り、マグマの蒸気を含む熱エネルギーを取り出し、その蒸気を利用して発電します(図1参照)。ほかにも、エネルギーを直接利用するという意味では雪氷(せっぴょう)を利用する方法がありますね。北海道などの雪が多く降る土地で、冬の間に雪を溜めて、夏の冷房に利用するんです。

(注1) 地質調査や地下資源採取の目的で、地中深くに細い穴を掘ること

図1:世界における地熱利用

図1:世界における地熱利用

平野2008年7月にあった北海道・洞爺湖サミットでは、雪エネルギーを冷房に使っていたんですよね。資源から電気にして冷房するよりも、雪の冷気を直接使うっていうように、資源の持つ特性を生かすやり方もあるんだって初めて知りました。

工藤こういった温度差エネルギーを使う分野の発展も期待されていますね。さらに、日本の国土や気候から考えると、水力も可能性があります。

平野水というと、世界には雨の降らない国って多くありますよね。それで、水をくむために女性が過酷な労働をしたり、くんできた水に蚊がわいたことが原因で、マラリアにかかって亡くなる人もいたりするとTV番組で見たことがあります。それに、日本では、平均して1日1人あたり320リットルくらいの水が使われているけど、アフリカのサハリ以南の地域は平均20リットル以下らしいんです。安全な水とトイレがなくて、下痢で年間180万人が死んでしまう。そのうちの90%が5歳未満の子どもだと聞きました。

工藤地球に存在する水のうち、97.5%は海水なんです。そのなかで、人間が飲める淡水というと2.5%しかないんですが、日本はいたるところに河川や湖水があって、雨も降るし、世界的に見ても水資源に恵まれています。この恵みを使わない手はないですよね。
 このごろでは、ある程度の定期的な水量があれば、どこでも設置ができるという小規模水力発電装置が日本各地で使われ始めました。別名では、マイクロ水力発電というんですが、こういったシステムのメリットってなんだと思います?

平野太陽光と違って、夜でも発電できるし、風が吹かなくても発電できますよね。それに、小規模水力だから……環境負荷が少ないとか?

工藤そうですね。大規模なダムを建設するとなると、周辺の環境を破壊するおそれがあるので、最近ではあまり開発はされない。そこで、ダムによる大規模水力ではなく、河川や水路に水車などを設置して発電する小水力発電やミニ水力発電、そしてもっと小規模なマイクロ水力発電など、コストや環境に配慮した設備として今後の増加が期待されています。

平野マイクロ水力発電は、水があればどこでもできるんですか?

工藤水は傾斜をつけてあげると、高いところから低いところに流れていきますよね。そこで、川や農業用水などの近くに、水を取り込むための水路を作ります。そして、落差をつけて水を流し、水の重力で水車を回して発電するというしくみ。落差が必要とはいっても、2mぐらいの高さがあれば発電することが可能なんですよ(図2参照)。

図2:マイクロ水力発電のしくみ

図2:マイクロ水力発電のしくみ

平野おもしろい発想! よい工夫ですね。

工藤それに、マイクロ水力発電は地下でもできるんです。製鉄やラグビーで有名な岩手県釜石市にある大橋というところでは、すでに行われています。そのほかですと、前回のお話(『日本はバイオマス資源の宝庫』参照)で触れたように、生活排水を使う例もあります。

平野生活排水は、バイオマスなので……ガス化させてから発電するんでしたよね。

工藤具体例でいうと、東京都の取り組みなんですが、生活排水などの汚水を浄化していって、汚泥と水に分けるんです。汚泥はメタンガスを発生させ、燃やして発電している。また、きれいになった水を海に放流する時に落差をつけて、小規模水力発電をするんです(図3参照)。こうした技術がより進んでいけば、環境貢献というかたちで多くの国や地域で役立てるかもしれませんね。

図3:下水処理での水力発電

図3:下水処理での水力発電

平野私も身の周りのことから一歩一歩、少しずつですが、環境にやさしいことを始めています。今、環境に注目が集まっているから、ちょっとした取り組みでも協力する人が増えていけばいいなと思います。それに、エネルギーとかモノを生産する技術なども、環境負荷がかからないようなシステムに転換していくかもしれないと思うと、なんだか未来は明るい気がしてきます。きっと、なんでもアクションを起こすことから始まるのではないでしょうか。


工藤さん、平野さんのご協力により提供しておりました「かんきょうブログ」は、今回のトピック「新しいエネルギーの可能性」で終了いたします。長い間ご利用いただき、ありがとうございました。
※「かんきょうブログ」へのコメントは2009年3月まで受付けております。

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コメント

けこゆさん、

長い間、お付き合い頂きまして有り難うございました。エネルギーと環境問題の関係を考えますと、「どうやって防ぐ」が省エネルギー、エネルギーはどうしても使うんだけど「どう対応する」かを考えれば、自然エネルギーや原子力などのエネルギー選択。この二つを同時に考えて実行していくことが大事だと思っています。特に省エネルギーの様に誰でも実施できることを一般の方々に認識していただくことが大事ですが、エネルギー選択も、太陽光発電などは生活者も選択することが出来るようになってきています。世の中は、変わってきています。今後も是非、興味を持ち続けていただければと思います。

9月に気候変動のお話をされていた頃は、環境が悪化するのをどうやって止めればいいのか?と疑問を持ちながら読んでいました。
最近のお話で、環境にできるだけ負荷をかけないエネルギーやその使い方がどんどん研究されていることがよくわかりました。
エネルギーが変化してきたように、その使われ方も変化しないといけないんですね。
塵も積もれば山となるように、一人一人の行動も積み重なれば大きな効果をもたらすと思って、もう一度、自分自身の身の回りを振り返ってみたいと思います。
とても勉強になりました。ありがとうございました。

皆様、

短い間でしたが、ご購読有り難うございました。気がつけば、結構な量のお話しをしてまいりました。これまでの対談内容をお読みになった感想も、是非、お寄せ下さい。

この記事へのコメントは終了しました。

工藤 拓毅さん

工藤 拓毅(くどう ひろき)さん

(財)日本エネルギー経済研究所・地球環境ユニット総括。地球温暖化防止プロモーションチーム「Project ECO II」代表。専門はエネルギー需給分析、環境経済、地球温暖化政策。

平野 由実さん

平野 由実(ひらの ゆみ)さん

雑誌「mina」「with」などのモデル。CMやファッションショーで活躍中。環境への関心が高く、ペットボトルのキャップでワクチンを買うエコキャップ活動を推進中。

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